ドローン鑑定

 ドローン鑑定会では、会員から寄せられた成果や提案に対し表彰制度を設け、会員相互の技術向上に努めており、年間を通じた表彰イベントとして「すごい!新しい!すばらしい!面白い!」の総合的観点で審査するトップガンコンテストを行っています。
 このトップガンコンテストにてご理解いただけるとおり、UAV(無人航空機)を飛ばすとは、遊び心とチャレンジが無ければ、新しいアイデアや成果は出てこないという物事の本質を突くものであって、ドローン鑑定会ではたえずそのような姿勢を大事にしたいと考えています。


●2022最優秀賞:DA035藤原陽(京都)「FIJIKAN DRONE/古墳でドローン」


 令和4年度の最優秀賞は、ユーチューブ作品での受賞です。
 不動産鑑定士はこれまで、不動産を文章と写真で表現するしかありませんでしたが、そこに「動き」があり、「BGM」があり、これはまさに「センスの差」が現れる斬新な表現方法です。
 物件を客観的に表現するというよりは、主観的に良くも悪くも表現できてしまうのは、我々にとってはタブーとも思えますが、実のところ、既存業務であっても表現の差はあったと認識せざるを得ず、ある意味、不動産鑑定士の手腕やセンス、誠実さ等といった観点について問題提起している作品だと考えさせられます。
 また、ドローン鑑定実務においては、3D(点群データ)の活用について、汎用性のあるビューアーの普及が課題でしたが、点群データを動画データに加工すれば誰もが見れるという解決方法があったと気づかされました。
 当作品は、すごい!新しい!すばらしい!面白い!の選考点を満たす文句無しのトップガン作品です。


●2022優秀賞:DA032岩渕大毅(福島)「RTKやってみたあれこれ」

 作者曰く、言いたかったんですよね、「座標値から対象不動産の位置をセンチメートル単位で捕捉しておりますので、対象不動産の規模からして不動産の鑑定評価に利用しうる資料としては十分な精度を確保しております。」みたいなことが。。
 とのことですが、上位機種を購入し、実践し、検証し、その成果を報告するに至ることは並大抵のことではありません。
 昨年のトップガン受賞に続く2年連続での入賞。こういう不動産鑑定士が存在しているスゴイ事実を社会に示せるようになったこと自体、ドローン鑑定に大きな将来がある証しだと言い切れます。


●2021最優秀賞:DA032岩渕大毅(福島)「市街地20ha単独調査」


 ドローン鑑定士なら想像容易ですが、この規模の空撮調査は、絶えず通信状態・バッテリー状況に注意を払いつつ、最終的に画像データが繋がるのかという不安も含め、かなりナーバスな長時間調査であったと思います。まずは、それを単独で実践した勇気と成功を讃えます。
 この成果は、1年前の宇都宮ミッション(10ha)を更に前進させたものであるとともに、PCのパフォーマンス検討や色彩調整などを含む実務編⑧-2(大型物件への対応編2)へ繋がるものでもありました。これは正にドローン鑑定会の活動2年目を代表する成果実績です。
 なお、岩渕氏は、R3年7月に入会し、皆からシューマッハと呼ばれるスピードで多くの成果を出しており、ルーキーながらエースパイロットを名乗るに値します。
 2021年度ミスタートップガンが“皇帝”と呼ばれる日が来れば、日本の鑑定業界は大きく進歩しているでしょう。


●2021優秀賞:DA012大下智(岩手)、DA024奥村篤(北海道) 「特別寄稿:空撮技術を用いた物件調査・評価の新しい潮流」

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 これは2021年春に発刊されたKBネット第18号に巻頭カラーで掲載された特別寄稿です。
 内容的には、ドローン鑑定会1年目のものですが、既にその頃から裁判所案件でのUAV調査が始まっていたことがわかり、現在はその実施裁判所数も増えていますので、この寄稿が世に出たことによって、関係者の認識や意識に影響があったものとも思われます。
 なお、裁判所案件でのUAV調査は、その後「民事執行における現地住民の感情に配慮した空からの調査」とも表現されていますが、この先数年後、この寄稿を読み返せば新しい潮流がどのような意義を持っていたかが理解されるのではないかと思います。


●2020最優秀賞:DA006左近宏崇(京都)「ブラックバックレイヤー」


 開発登録簿図面に加え、賃借権設定区域図をダブルで重ねた点は初の試みです。
 更に、こともあろうかせっかくの背景オルソを消し、ブラックバックレイヤーにしてしまうとは、、その見栄えに度胆を抜かれました。
 これは正に自由な発想で生み出された新たなカッコよさであり、ドローン鑑定会のエースパイロットを名乗るに値します。
 なお、左近氏は、6月末にライセンスを取得、8月に解析ソフトを導入し、11月頭にこの作品を発表していますが、その吸収能力と応用能力の高さにも驚かされました。
 2020年度ミスタートップガンの必殺技“ブラックバックレイヤー”が日本中を席巻する日が楽しみです。


●2020優秀賞:DA010後藤元(千葉)「ニューイヤーカード」


 千葉という都市にあって、市街地でのドローン活用頻度は低いかと思われていましたが、ドローンが都市に調和したデザインは、これからの社会像を映し出すかのごとく美しく好印象です。
 また、未だ多くの会員がレタッチソフトの扱いに苦労する中、Windows10に標準インストールのペイント3Dを活用し、自作でこれまでの見栄えを仕上げたことも称賛に価します。
 なお、後藤氏は8月頭にライセンスを取得し、その後、早々のうちに管理組合に頼まれて自宅マンションの雨樋をドローン調査されてますので、上記デザインはまんざら作り話でもありません。
 このニューイヤーカードについては、「鑑定士の年賀状はほとんど記憶に残らないが、後藤さんの年賀状はインパクト半端ないっす」、「鑑定士の自分が後藤さんに鑑定をお願いしたくなった」との嬉しいコメントを頂いたそうです。