4ページ目 | 2013欧州バイク旅3

3日目:今はライダー天国

ハルシュタット→(スロベニア)→ベネチア(イタリア)・483km・曇りのち晴れ・14~31℃

夜中に一度目が覚めたが、二度寝に成功、スッキリと起きる。
朝もやの遠くでダン!ダン!と十発の砲音がこだまし、鼓笛隊の音が徐々に近づいてきた。

何やら?と外に出てみる自分に、オカンが2階の窓からオハヨ~と手を振る。
5月の最初の日は感謝祭なのよ!とてもご機嫌な様子だ。


朝食代わりのクッキーを頬張りつつ荷造り、、なんとなく名残り惜しくもある。
この町の印象を一番良くしたのはこのオカンの人柄のせいだったかもしれない。
部屋で靴を脱げば、ここの床がとてもきれいだったことがよくわかる。

さぁて、今晩からはホテル予約済みの都市巡りとなる。天気、距離、、辿り着けそうだ。
その前に、この東欧さいごの国、スロベニアという普段まったく聞かない国を目指す。


気持ちの良い朝ツーリングをこなし、上道にて先へ。
A,SLO,Iの国境に見える山がややきつそうなので、店があるうちに早めに昼食。

とにかく旅は体調が全て。水分と炭水化物を胃袋に入れとけば、とりあえずなんとでもなる。
EUの場合、スパゲティがあるので、生活習慣的なストレスはあまり感じない。
でも、高速道路のレストランなら、ウチで食う方がうまい。


山道を盛んに自転車が登っている。
もうすぐ、ジロ・デ・イタリア、そしてツールドフランス。
山岳コースの練習だろうか。

ガソリンに頼っている自分からは、想像もつかないシンドサのはず。。
でも、JSPORTの映像を見てるだけじゃ、気持ちええやろなーと思うだけ。
そして今、自分がその映像の中を走っていることがうれしい。


断崖に設けられた小さな城壁のような国境を超え、SLOへ入国。
そこで、あまりの景色とライダーの多さに驚かされる。

やまなみハイウエイ(九州)が延々と続くよう。
いや、その一番いいとこだけ、草千里だけがずっと続くよう。。

平日というのに、ひっきりになしにすれ違うライダー。
それもいっさい手抜き無しにピースサインを出してくる。


とにかく信号が無い。休む店がない。
止まるタイミングを見つけれぬまま、小さな国を縦断してしまう。
ある意味、疲れた。

しかし何よりも、この国は旧ユーゴスラビア。
つい最近にも感じる平成3年の独立。EU加盟は平成16年。ユーロ通貨になったのは平成19年。
それが今では近隣諸国から走りに来るライダー天国。
インフラは十分に整備されているし、平和で安全そう。

但し、お隣りのクロアチアは未だEU化できていない。
そのお隣りは、まだまだキナ臭いボスニアヘルツェゴビナだ。

このEUというのはいったい何なんだろう。
EU化できない者の負けなのだろうか。
しかし、この先のイタリア様は経済危機。
お土産にしたチェコ通貨のコルナは、いずれなくなるのだろう。


ようやく見つけたドライブインにて、イタリアのチビッコマフィアに捕まる。
東洋人が珍しいのか、言葉が通じないのが面白いのか、いっこうに離れていかない。
相当バカにされているようだ。。何度撃たれて死んでやったことか。。。

そんなスロベニアを後にし、期待満々のベネチアへ。
そして今回もイタリアは30℃を超えた。
ヘロヘロになり夏ジャケットに着替える。

この旅まで知らなかったこと、、ベネチアは島だ。
遠くに街を見ながら、それへの橋を渡る。
感慨深い一瞬でもある。


イタリアの都市にはZTLというのがあって、地元車以外は走ってはいけない。
カメラで監視されてて、罰金はレンタル会社を通じ、日本まで請求が来る。
よって、今日、明日の宿地選定については、相当に場所を調べ尽くしての予約だった。

ZTL以前の問題として、このベネチアに関しては、とにかくこの橋の先で道は終わる。
橋の手前にもホテルはいっぱいあるが、やはり現地に泊まりたい。
それならば、3箇所ある駐車場のどこかにバイクを預け、宿へ向かうしかないというのだ。
しかし、その実態は其処彼処に路駐されたバイクの山、、それを取り締まる警官。。

さすがに路駐の山にバイクを置く勇気は無く、
ガラッガラのサンマルコ駐車場に預ける。これで安心だ。
バイクごときに駐車代を払う者はいないのだろうか。。


事前調査は功を奏した。
誰もが石畳を荷物引きずって宿へ行く中、駐車場の程近くにホテルアレッキーノを発見。
しかも、この運河に面した賑わいっぷりは、うれしい立地だ。


但し、但し、今日も、屋根裏部屋だった。。
しかも、EVは無く、階段から廊下そして階段、、どう考えても隣りの建物に居る。。
お~い!建築基準法~!!

それに、俺は運河の見える部屋を予約したんじゃなかったのか、、勘違いか。。
これじゃ、客の安全もクソも無い。火事の時は燃え死ねと言われている。
それならば、完全にこの窓は俺にタバコを吸えと言っている。ノープロブレム、吸ってやろう!


さて、身支度を終え、街に出る。

ん~~、なんだかなー。
店はどこも閉まってて、どこも汚い。。古いというのではない。
犬が多く、おおげさに言えばくそだらけ。。
映画で見たあのリッチな雰囲気は幻想か?

小一時間歩き、ようやく賑わいのあるとこまで来たが、 それでも。。
ベネチアファンの気を逆立てるつもりはないが、もしかすると、期待が大きいぶん世界ン大ガックリ都市の1つかも。。


どれほど歩きまわったか、、とうとう一番先の海まで出て、もうヘトヘトで限界。

確かに観光客は多い。しかし、満足できない。。


なぜかしら、こんな時は宿の近くに戻って、静かに飯を食いたくなる。。

ただ、帰りに乗った水上バスで、なんとなく、わかった。
ベネチアは、街中を歩いて行くのではなく、水上から賑わいの中にアプローチしなければならない。
そりゃ当り前!

そして、綺麗になる夜に行くに限る。


ま、疲れもあろう。。このベネチアが悪いのではない。
映画監督がすごかっただけだ。
十分見たので、あとは食って寝よう。




 

海外バイク旅のウンチク(その3)

 EUツーリングの場合、どの街も歴史や文化が感じられるので、街歩きそのものが観光となるが、歩く距離はハンパじゃない。
 よって、バイク旅では限られる荷物ながら、歩きやすく、場によっては失礼のない色形のウォーキングシューズを持参する。
 そして、帰りの飛行機で臭くなってるのは困るので、新品を持参するが、旅前に急に探してもなかなか思うものが見つからない。。

 宿に辿り着くのはだいたい夕方から日没近く。その後、如何に身支度を早くして街に出るかが重要なポイントだ。まずは、この臭い体をなんとかして、洗濯を終えておかなければならない。
 一日走った汗をシャンプーと石鹸で洗い流しつつ、同時にその水で今日着ていた下着を足で洗濯する。
 自分が洗い終われば、更に下着に軽く洗剤を付けて二度洗い。これは洗剤の匂い付けみたいなもので、それだけで洗えている気になる。
 脱水は、手で雑巾絞りし、次にバスタオルに敷いてロール状にし、足で踏んで完全脱水。時には足マットもこれに使う。
 それを室内に干しとけば、およそ翌朝には乾いている。よって、自分自身はバスタオル等を使わず、フェイスタオル等で拭く。
 宿に到着してすぐ迅速にこの任務をするわけなので、洗濯を終えたときには結構ハーハー言うぐらい疲れている。。
 
 街に出て観光するとはいえ、別に美術館や博物館に興味があるわけでなく、有名店に行ったり買い物をする訳でもない。それに、その街に新鮮さと偶然を残すため、必要外の事前調査はあまりしないようにしている。すなわち、その国のガイドブックを見たり、ネット検索しても、写真等は印象に残らないようにしている。期待できる目的地が選定できればいいだけなのだ。
 よって、ガイドブックとしては、各国の基本情報が書いてある地球の歩き方「ヨーロッパ編」1冊を最低限のものとして持って行き、行った先の街が載っていれば、その頁を切り取り、ポケットに入れて街に出る程度。あとは、宿でもらう地図だけが頼り。
 なので、実のところ、観光といっても街並み見学。あるいは、今日一日を締めくくるレストランを探し続けてるだけかもしれない。
 何かに満足できていなくても、それさえ良ければ、何か満足なものだ。よって、どうしても旅日記の最後は、毎日食事の絵となってしまう。
 その食事もダメだった時は、もう俺はバイクで走りに来ているのだ。と理解するしかない。。

 なお、街に出るとは、ある意味バイクに乗っている時より危険があると理解すべきかもしれない。皆が気にする典型はスリ被害だろう。それだけじゃなく、総じてトラブルというか、自分がミス等をおかしてしまう場合もある。
 ガイドブックには、ウエストポーチやリックサックは危険だ、鞄は自分の前に。などと書かれているが、そんな変な格好で街は歩けない。
 じゃあ、貴重品をいちいちセーフティボックスに置いていくのか?フロントに預けるのか?それが本当に安全なのか?
 ツーリングライダーの観点から言うと、基本的に重要なもの常に身に付ける。そのための基本がウエストポーチだ。そこにはサイフとパスポートと国際免許とバイクのキー、その次に重要なのが旅の記録であるカメラ。
 特にバイクのキーは、大き目のキーホルダーを付けるか、あるいは自分の場合、ノビノビのキーホルダーでウエストポーチに繋げている。ちょいと手から滑って溝に落ちた、、じゃどうしようもないことを一番自覚しなければならない。
 また、これを毎度毎度、その状況を同じように確認するのが一番安全かつ安心であって、その都度、預けたのか?どこかに置いたのか?では旅は進まない。
 よって、ウエストポーチは絶対腰から外さない。常に同じ重みでそこにあるのが安心なのである。

 ま、海外の街歩きについては、どうしてもやばそうな雰囲気のところもあるし、路地を歩いてみたりもする。昔は現地の新聞や雑誌を持って、さもそれっぽくしてみたこともあったが、総じて、そんなものは旅慣れというか、狙われやすそうかどうかの問題でもあり、何某かバイク旅っぽい恰好で、身長体格がそこそこあれば、あまり危険は寄ってこないと思うし、そういう空気を出していれば、それ以上の危険はあきらめざるを得ない。
 ガイドブックには、そんな時、貴重品を指し出し、命を守れ!と書いているかもしれないが、何をするにしても、ウエストポーチを腰に付けて、両手を開けておくのが一番安全だ。