ドローン鑑定

 国が推進する「空の産業革命」や「i-Construction」「インフラDX」の理念は、一部の業界に限るものではなく、これからの社会経済が目指すべき方向性を示すものと考えます。
 不動産鑑定業界もまた、新技術を導入することにより、更に品質の高い業務を追究すべき時代になっており、特にUAV(無人航空機)の産業活用という点においては、いち早く業務化を確立した業界となっています。
 弊社は、ドローン鑑定のパイオニアとして、これまで培ったノウハウを全国の有志と共有するとともに、相互に切磋琢磨することによって更なる品質向上等に努めています。
 このドローン鑑定(特許第6726831号・商標第6365211号)の技術は、お客様が依頼すべき不動産鑑定士を選ぶ際の的確な選択指標になるものであり、少なくともその技術習得や実践に努力を惜しまない不動産鑑定士による業務成果の提供が保証されるものです。
 また、このドローン鑑定は、不動産鑑定士自身にとっても、実務現場における多くの難問題を解決してくれる技術であるとともに、従来業務よりも格段に品質の高い鑑定評価書の提供を可能とし、導入しやすいコスト及び仕様にて普及性があることが最大の特徴となっています。

ドローン鑑定事業

●ドローン鑑定会の主催及び運営
 ドローン鑑定会は、UAV(無人航空機)による空撮解析を活用した精緻な不動産の鑑定評価を行い、客観性・説得力に優れ、ビジュアル的に理解しやすい鑑定評価書をお客様に提供しようと考えている先進系不動産鑑定士の集団です。
 会の詳細につきましてはコチラをご参照ください。
 
●不動産調査実務者要請コース(二等無人航空機操縦士ライセンス取得講座)の運営
 新制度に基づく一等修了審査員の資格を有する不動産鑑定士が、自機のセットアップや風が吹く野外環境での実践的飛行を指導し、コンプライアンスに配慮した実務直結のライセンス取得をしていただけます。
 不動産鑑定士だけでなく、宅建士、補償コン、測量業者、工務店、自治体職員など、幅広い方々に受講していただけます。

●ドローン機材の販売
 DJI機の特約代理店として、メーカーからの最新情報や実態情報、技術担当者の協力等も得て、実務に対応した機材環境を整えるとともに、研修会などを実施しています。
 また、古物商の許可を得て、上位機購入に伴い生じる中古機を活用し、新入門者が安く確実な機材環境を整えれる体制を作っています。

●解析ソフトの販売
 TerraDrone社の販売代理店として、ソフトの販売、講習の実施を行うとともに、メーカー担当者の協力も得て鑑定実務に役立つ活用方法の検討、研修会等を行っています。

●PCの販売等
 マウスコンピュータ社の取次店として、解析ソフトが推奨するスペックを満たすPCを手配するとともに、現実の解析作業において生じるPC問題の解決支援等を行っています。

●赤外線建物診断技能の普及活動
 赤外線ドローンの普及に伴い、ドローンに関わらず赤外線調査というメソッドを不動産鑑定士・宅建士に広めるため、一般社団法人街と暮らし環境再生機構と業務提携し活動しています。

弊社のドローン鑑定体制

操 縦 士: 新見憲一郎(技能認定FREEBIRD00019)
      不動産鑑定士・測量士補・赤外線建物診断技能師・損害保険鑑定人
      地理情報標準認定資格者・アマチュア無線技士
使用機材: DJI MAVIC2PRO …空撮解析用 
      MAVICAIR2 …動画撮影用
      MAVIC2EnterpriseAdvanced …赤外線調査・災害対応用ほか
      Matrice300RTK…広域調査用
保険加入: 対人・対物10億円
飛行許可: 阪空運航第36371号
      航空法第132条の85第1項第2号、航空法第132条の86第1項第1号、第2号及び第3号
飛行範囲: 日本全国
目  的: 不動産の鑑定評価業務ほか
成果出力: A1版カラープロッターほか
特許技術: UAVによる空撮解析により対象不動産を調査分析する不動産鑑定評価システム
      (特許第6726831号)
商標登録: ドローン鑑定(標準文字)

 ドローン鑑定®(PAT)は、不動産鑑定士が自らUAV(無人航空機)を操縦して、不動産を調査確認するものであって、ネット上の航空写真を転用したり、空撮業者に外注した空撮成果を活用するものとは、目線や精度が全く異なります。
 また、ドローン鑑定®(PAT)は、不動産鑑定士自らが空撮画像を解析し、その結果を基に価格形成要因を分析しますので、極めて現場事実に忠実な鑑定評価が可能となるものであって、そのような観点においても、従来の業務とは異なります。
 すなわち、例えるなら、町医者が問診や聴診器で診察し、検査は外注して、自己の経験則で診断していたものなら、弊社の業務は、CT・MRI等の機器も備え、自身で即その分析を行い判断できる専門医体制を備えたものといえます。
 ドローン鑑定®(PAT)は、既に多くの不動産鑑定士が導入し活用している技術であり、それら不動産鑑定士から支持されていることからも、皆様に自信をもってこのサービスを提供できる訳です。



UAV Line Up 

 私たちが使用している機材は、不動産鑑定士が容易に持参でき、現地にて即時飛行が可能で、周辺近隣に迷惑が掛からない大きさのものです。
 大型機に比べると頼りなく思われるかもしれませんが、けしてそうではありません。
 メーカーからの技術指導や実証テストも踏まえ、これら機材にて実務活用を可能にしたことこそが大きな成果なのです。


MATRICE300RTK
超大型物件や地表面データを得るための調査等においては、レーザー測量機を搭載する大型機を使用し、広域を高精度かつ短時間で調べます。


MAVIC2 Enterprise Advanced RTK
640×512P・16倍ズームのサーマルカメラ(赤外線)と48MP・32倍ズームのビジュアルカメラを備え、建物の劣化診断、太陽光発電パネルの点検、災害時対応等に適した高性能機です。


MAVIC2PRO
全方向に障害物センサーを有し、完全制御された自動航行撮影が可能な業務用標準機です。
既に廃盤になってしまいましたが、この価格でこのスペックは、Phantom4とともに名機と呼ばれるものです。


MAVIC AIR2 (ドローン鑑定会・非推奨機)
前後と下にしか障害物センサーがなく、自動航行撮影はできません。また、対風能力が低く、電波通信も弱い報告がありますので、業務活用には向きません。
入門者の飛行練習機、または遊び用として使用しています。


MAVIC MINI (ドローン鑑定会・非推奨機)
令和4年6月まではトイドローンでしたが、無人航空機扱いになった100~200g機に該当します。
仕様書上の性能は良いのですが、制御不能(新制度の下では重大インシデントに該当します)の報告例も多い機種で、趣味利用の域を越えない機種です。


TERRO (ドローン鑑定会・非推奨機)
プロポは無く、スマホのブルートゥースで操作するトイドローンなので通信距離が短く、野外飛行には向きません。使い勝手は室内での遊び程度ですが、宙返りなどもできます。


ドローン鑑定の実績公開


 ドローン鑑定は、以下のとおり公共用地買収・公有資産売却・競売評価・裁判所の中立鑑定等にも多数の納品実績がある確かな技術です。
 また、それは民間顧客からの多様なニーズにも幅広く対応することによって、今や私たち不動産鑑定士のサービスレンジは大きく広がってきています。

<空撮調査実績件数>
令和元年度(6月~)…計16件
令和2年度…計33件
令和3年度…計32件
令和4年度…計32件
令和5年度…計38件 
<特に効果があった典型的事例>
広大な工業地、商業施設、寮、採石事業地、山林、墓地、池沼地、スキー場、廃川敷、ホテル、開発素地、別荘地、住宅団地、資材置場、土砂災害特別警戒区域、共同住宅、造成工業地1件、農地、野外活動センター、コミュニティセンター、観光施設、倉庫、リゾートコンドミニアム、養護施設、崖地、生産緑地、廃校、堤外民地など

ドローン鑑定の本質

 そもそも以下のような事項は、不動産鑑定士なら当然調査しているだろうと思われがちですが、立入困難な現場や資料の不備など、実務現場には多くの難題もあり、それらに対して従来は「鑑定評価の条件(調査範囲等条件)」を設定するなどして業務が行われていました。
 しかし、そのように条件を設定した業務成果は、現場事実を認識せずに評価してしまっているものであって、けして望ましいものではありません。
 よって、お客様に無用な迷惑をおかけしないためにも、現場事実に基づき鑑定評価を行うというのが大原則であり、安易に条件を設定した鑑定評価書は提供しません、というのがドローン鑑定の本質なのです。
 なお、そのように実直に鑑定評価業務を行うことは、至ってシンプルな事なのですが、実のところ今までは行うことが困難であったのが現実であり、それを実行可能にしたことがドローン鑑定の革新的な発明なのです。

●宅地・建物の鑑定評価
 立ち入り困難であった背面境界や越境物の状況、建物の配置確認や屋根等の状況調査が容易になります。
 例えば、MAVIC2PROであれば、高度約40mからの空撮で1cm/ピクセルの画像になります。広いグランドに落としたサイフなどは簡単に見つけることができる精度です。
●宅地見込地の鑑定評価
 土地の高低差などは、画像解析により標高や等高線により把握することが可能であり、周辺関連地の調査も含め現実的かつ具体的な開発想定が可能です。
●農地の鑑定評価
 田は、水張り面積がどれだけあるのか、周囲の畦や法地等の状況、境界の位置などが明確にわかります。
●林地の鑑定評価
 複合的な傾斜や林相の確認のほか、今日的な災害発生時の倒木状況の確認等ができます。

 なお、不動産の鑑定評価業務におけるドローン活用の必要性は、上記のとおり一目瞭然ですが、ドローン技能を身に付け、そのデータの利活用ができるようになった不動産鑑定士は、いずれ自らドローンを飛ばす必要もなくなる社会がくるだろうと考えています。
 この先は、空の利活用において解決すべき問題が多く生じ、それらを熟知した弁護士や不動産鑑定士が必要とされる時代が来ます。
 そのためにも今私達は、早々にドローン活用を達成し、次なる業務への準備を要するのです。